『太陽にほえろ! 1980 DVD-BOX II』は9月26日発売なのですが、一部のショップでは25日に入荷しているとこともあるかもしれません。DVD-BOXの制作サポートを発注頂いている高島幹雄が、僭越ながらDVDの制作エピソードを主体にしたメイキングコラムのようなものを書かせていただきます。よろしかったら気楽におつきあい下さい。
●『太陽にほえろ! 1980 DVD-BOX II』について
『太陽にほえろ!』のDVD-BOXシリーズでは1978年放映分以降、6月放映分までの上半期作品と12月放映分までの下半期作品を分割収録していく形式ですが、1980年については、シリーズの大きな転換ポイントとなる殿下の殉職までを「1980 DVD-BOX I」、ドック刑事の登場以後を「1980 DVD-BOX II」にしています。
1980年7月11日金曜日、放映開始からのレギュラー出演者だった殿下こと島公之役の小野寺昭さんが番組を去り、その翌週、7月18日に放映された第415話「ドクター刑事登場!」から始まり、1980年12月26日放映の第438話「取調室」までの24話分を収録。
医大中退という経歴で自らドクターのドック(雑誌などのメディアで紹介される際にもドッ「グ」と誤表記されることもしばしばありました)と名乗る西條昭役、神田正輝さんのレギュラー入りです。
ロッキー、スニーカーよりもキャリアが長い、本庁から来た刑事という設定なので「新人刑事」の登場ではなく「新刑事」の加入と表現するのが的確ではないでしょうか。
●『太陽にほえろ! 1980 DVD-BOX II』のBOXアートについて
ボックス・アートのメインカットは、今回も集合写真を使用しました。本放映時のイメージを残したかったので、この当時発売されたドック刑事のテーマ曲を収録したLPレコード『太陽にほえろ!'80』と、「ドック刑事のテーマ」のシングルレコードのジャケットに使われた写真を使いたかったのですが、それは現存していませんでした。レコードに使われた写真も、元はといえば日本テレビから貸し出されたものなので、レコードからスキャニングして使うことも考えましたが、レコードに掲載された状態は画質が少々ザラついた感じなので、DVDのボックスにはクオリティ的に耐えられないと思い止めました。しかし幸いなことに、同じカットで表情が若干異なる別ヴァージョンがあったのでこれを用いました。
ボックスの裏面は、収録した全エピソードの予告編の映像からキャプチャー(映像から写真を起こすこと)した画像を、該当するエピソードの箇所に使っています。中ジャケット裏面の各エピソードの写真もそうなのですが、DVDに収録するマスターを作るスタジオで、1話あたり最大で20カットくらい抜き出したものがこちらに渡され、その中からボックスの裏面用と中ジャケットの裏面用とに振り分けて選んでいます
他のシリーズものドラマのDVDボックスなどでは、何話の写真かというのを関係なくゴチャゴチャに(ランダムとも言いますが)並べられたり、中には写真として見た目が良ければいいという判断なのか、その巻数に入っていないエピソードの写真が使われているものも見受けられます。仕事なので諸般の事情などで妥協しなければならないことも出てきますが、自分が制作に関与する場合、できる限りはジャケットと収録している映像の内容とは整合させたいと考えています。
●各中ジャケットの写真について
1980年後半からは中ジャケットも全部カラーで出来るかもしれないと考えていましたが、写真を捜索してみると、全話分のカラー写真は残っていなかったので、今回もモノクロで撮影された写真を表面に使っています(写真捜索に手順は、前回のコラムを参照して下さい)。
今回のディスク構成は、全24話収録なので本編ディスクを6枚、特典映像とフォトデータ集を収録した特典ディスクが1枚の合計7枚組になっています。
1枚あたりの収録話数は、画質クオリティの考慮などの理由で4話までの収録と決まっています。前回までのボックスでは最終ディスクが2話分か3話分の収録だったので、余裕のある時間的スペースに特典映像とフォトデータ集を収録していましたが、今回は本編の最終ディスクもギリギリの4話収録なので、別巻を設けています。
中ジャケット全体を見ると、申し訳ないのですが、ボスが登場していません。
各ディスクの中ジャケットは、収録されているエピソードの中から写真1点を選ぶことを基本にしています。今回のボックスは、レギュラー刑事8人に対して本編ディスクが6枚です。どうしても足りません。足りない中で選んでいきました。
ディスクナンバーは、以前のコラムでも書いたかもしれませんが、同じ年の後半ボックスは、前半ボックスからの続きなので、DISC-008から始まります。
DISC-008
本来ならば第415話「ドクター刑事登場!」における写真を使いたいところですが、現存するモノクロ写真では、ファーストシーンの吉野巡査、吉野が勤務する派出所の中でのロッキー、スニーカーとの絡みしか残っていませんでした。同じ回のヨットハーバーで拳銃を構えるなどのポーズ写真はカラーでは残っていましたので、特典ディスクのジャケットにカラーのままで使うことにしました。
そこで選んだのが、第417話「ボスの誕生日」のロケ現場で撮影された拳銃を取り出すようなポーズでの写真。そのエピソードの主たるボスの存在も感じられれば、という意図もあり、使いました。この頃に学研から発行されていたアイドル雑誌『ザ・ベストワン』などにも掲載されていたカットです。
DISC-009
ロッキーの結婚というシリーズの中でも1つの節目である第420話「あなたは早瀬婦警を妻としますか」から、ロッキーと早瀬令子婦警との結婚式。ドラマの中では、庶務係のナーコこと松原直子が2人の結婚式を想像するイメージ・シーンとしての登場で、リアルな結婚式は行われませんでした。
DISC-010
主演数が少ない長さんの第423話「心優しき戦士たち」か、スコッチの第424話「拳銃を追え!」かで迷いましたが、長さんは第434話「ある誘拐」にてゴリさんとの並びの写真で登場させることができるDISC-012にまわさせていただき、スコッチの方にしました。再登場後のスコッチはキャラクターに躍動感が加わり、さらに前年の主演ドラマ『俺たちは天使だ!』で共演した神田正輝さんが加入しての化学変化なのか、「俳優・沖雅也」の多面性が引き出された感もあります。究極のカッコ良さが出た表情の1つがジャケットに使った写真かとも思います。
DISC-011
第427話「小さな目撃者」のボスか、スニーカーの代表的な作品の1つでもある第430話「東京大追跡」かで迷いました。ここはスニーカーの激走、そして初めての犯人射殺という苦悩も描かれる後者にしました。山下真司さんが自ら演じた橋から水上バスへ飛び下りる瞬間をとらえた写真をジャケットに使ってみてもいいかな、とも思いましたが、それはブックレットの中で大きく掲載しました。
DISC-012
長さん役の下川辰平さん主演である第434話「ある誘拐」から、ゴリさんとロッキーが両隣りにいるカットから、ゴリさんと長さんが並んでいるようにトリミングしてジャケットにしました。オリジナルの写真は、ジャケットを開いた中に掲載してあります。
ジャケットに写真を使うとどうしてもデザイン上、いろいろな処理が施されるので、なるべく原型のままの写真を公開しながら保存したいと考え、ジャケットの内側やフォトデータ集の中にも掲載、収録したりしています。ブックレットの中ページに掲載している写真も、特にこの数年は、一部には重なっての掲載もスペースの都合上では致し方ないのですが、できるだけノートリミングで掲載するよう、デザイナーさんにもお願いしています。
DISC-013
本編ディスクのラストは山さん。この年の最終作品でもある第438話「取調室」からのカットです。
………ということで、ボスの中ジャケットへの登場は無くなってしまいましたが、その分、ブックレットでは、主演作品の写真を多めに掲載することにしました。また、当然ですがボックスの表面の集合写真、中ジャケット裏面の集合写真の別ヴァージョンなどトータルでの登場機会は多いので、どうかご了承下さい。
特典ディスク(DISC-014)
過去、太陽のDVDボックスでの特典ディスクは新規に撮影した新宿の街並の写真をジャケットに使っていましたが、今回は第415話「ドクター刑事登場!」のカラー写真にしてみました。モノクロ写真しかないエピソードが殆どのためにモノトーンのジャケットになっている本編ディスクとの区別も兼ねてます。
●オーディオ・コメンタリーについて
まず最初に、今回もスニーカー刑事役・山下真司さんは非常に多忙なスケジュールで、日程が折り合わず、ご出演がかないませんでした。残すところ1981年放映分のボックスだけになりますので、是非、出て頂きたいと、筆者も悲願です。
今回のボックスも前回と同様に特典映像と同日にオーディオ・コメンタリーの収録が行われました。
収録日は8月20日(木)、麻布十番のスタジオに午後3時に集合。
DVDシリーズでもすっかりレギュラー的にご出演頂いているロッキー役の木之元亮さんに進行役も兼ねてご出演をお願いし、初登場となるドックこと西條昭役の神田正輝さんとでトークを展開して頂きました。オーディオ・コメンタリーの映像は、第415話「ドクター刑事登場!」。
最近の2つのボックスではオーディオ・コメンタリーが殉職編だったので、トークもやや重い雰囲気もありましたが、今回は久々の登場編、しかもドック刑事ですから、笑いも誘う内容になりました。
神田正輝さんの現在のレギュラー番組である『朝だ!生です旅サラダ』(テレビ朝日系毎週土曜朝8時)でのダジャレを交えての司会ぶりも彷佛させ、また最終回まで出演が続いたドック刑事ですから、約23年後のドックみたいなタッチで語られていきます。
特に『太陽にほえろ!』のロケを見に来ていたオバチャンたちが、ある刑事のニックネームを聞き間違えたソラ耳状態で呼んでいたエピソードは爆笑ポイントかもしれません。
●特典映像について
今回の特典映像は分割取材の2部構成です。8月20日にはスケジュールの都合で参加できない放映当時の日本テレビプロデューサーの岡田晋吉さんのインタビューを前日に撮影しました。
コメンタリーを収録した後、特典映像「アンソロジーメイキング」の収録となるのですが、その直前に神田正輝さん、木之元亮さんには、その映像の一部を御覧いただきました。岡田さんの発言の中にドック登場で「第2太陽」のスタートという言葉があり、それを聞いた神田さんは笑いながら「そっかあ、オレのは太陽にほえろ!じゃなかったのか」とウケていらっしゃいました。
今回も不肖、筆者がインタビュアーをつとめさせていただき、編集の際には話題、質問をテロップによる処理にして、インタビュアー不在での仕上げにして頂きました。編集にも立ち会わせて頂きまして、必要と思われるキャプションはこちらからも出したのと、前からちょっと気になっていた岡田プロデューサーと木之元亮さんのプロフィールに一部修正、変更を加えて頂きました。
インタビュー中には、このDVDボックスでもコンビ的なシーンが出てくる沖雅也さんとの共演作でもあり、長さん役の下川辰平も出演していた『俺たちは天使だ!』の話題も若干出てきて、往年のファンならば嬉しく感じる一コマもあります。オーディオ・コメンタリーや特典映像では、「オキちゃん」と呼ばれていますが、俳優としてのキャリアが一番長く、役柄でも一番上の沖雅也さんは、実年齢では、神田正輝さん、木之元亮さん、そして山下真司さんの中で一番下だったのです。
合計約34分の特典映像、タイトルと下記のようなチャプター構成です。
アンソロジーメイキング
ドック刑事登場と新生『太陽にほえろ!』
岡田晋吉さん単独インタビュー
・80年代型『太陽にほえろ!』
・プロデューサーから見た 俳優・神田正輝
・ドック刑事のキャラクター性
・監督たちのエピソード
神田正輝さん、木之元亮さん対談形式インタビュー
・神田正輝・ドック刑事登場の頃
・ドック刑事のキャラクター作り
・ドック刑事が見た捜査一係
・3年目のロッキー刑事
・みなさまへのメッセージ
今回のインタビューでは、収録内容に沿って登場当初の話を中心に伺いましたが、『太陽にほえろ!』の80年代は、徐々に神田正輝さんが番組の顔にもなっていく側面もあります。今後も各年代のドック刑事のエピソードを語って頂けると嬉しく思います。
●フォトデータ集について
フォトデータ集への写真選択、収録の意図は前回のボックスでも書き記しました。今回もカラー写真は現存するものは、ボックス、中ジャケット、ブックレットと合わせたトータルで見ればほぼ完全に掲載、収録しました。
フォトデータ集の2枚目の集合写真は、中ジャケット裏面に使ったもののノートリミングの状態ですが、実はこの写真、退色したポジをデータ化して保存されたものなのか、データ化する際の調整ミスなのかわかりませんが、画質のクオリティが悪く掲載をあきらめかけました。しかし、カラーで見られるのは珍しい写真なので、デザイナーさんに可能な限りの補正を加えて頂き、なんとか載せることができました。元の状態以上に悪かったら掲載不能だったと思います。今回のフォトデータ集はカラー24点、モノクロ42点です。
次回のDVDは1981年1月放映分から6月放映分までの作品です。殉職や新刑事の登場はありませんが、ドック刑事=神田正輝さんのスキー・アクションによる前後編、視聴者の投稿から映像化された山さんがボスに銃を向ける前後編、鹿児島ロケの前後編など2週に渡るエピソードや、スニーカーのあわや殉職!?など見応えのある作品が満載ですが、一方、ボス=石原裕次郎さんが重病に倒れて長期療養に入り、その病状が国民的関心事にもなった期間でもあります。
特典映像のキャスティングはまだ検討中です。オーディオ・コメンタリーにしても、本当はここにある前後編のいずれかが面白いと思うのですが、どうなりますか……。
1月発売なので年内進行ですから、そろそろ打合わせも始めないといけません。
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