『太陽にほえろ!』DVDシリーズの発売開始以来初の、放映1年分を収録した『太陽にほえろ! 1982 DVD-BOX』が発売になりました。 DVD-BOXの制作サポートを発注頂いている高島幹雄が、バップ屋様のご依頼により僭越ながらDVDそのもののメイキングコラムのようなものを書かせていただいてます。よろしかったら気楽におつきあい下さい。
●『太陽にほえろ! 1982 DVD-BOX』について
『太陽にほえろ!』のDVD化に関心を持ち、詳しすぎるようなファンの方にとっては、常識的なことかと思いますが、1982年という年は特別な一年です。
放映開始から10周年を迎えたことだけでなく、レギュラー出演者の交代が相次ぐとともに、若手刑事のアイドル的人気を相まって再び黄金期が訪れる、激動の年なのでした。変えようの無い28年前のドラマのことですから、ブックレットに書かせて頂いたことと重複はありますが、ザッとあらましを紹介したいと思います。商品に添付するブックレットで書けない個人的な視点による表現もあるかもしれませんがご容赦頂ければと思います。
当時、ファンが安心して見ていられたのは、大病を克服したボスが元気な演技を見せた年明け1作目の第490話「われらがボス」ぐらいだったかもしれません。
その後に番宣が報じられたのが、スコッチ刑事こと滝隆一役の沖雅也の降板。1月29日放映の第493話「スコッチよ静かに眠れ」で病死という設定での殉職。その翌週、2月5日放映の第494話「ジプシー刑事登場!」で加入したのが三田村邦彦扮するジプシー刑事・原昌之。特異な設定を与えられて登場したジプシー刑事のキャラクターがプロデューサーの意向とも相まって変貌しつつもファンに浸透してきました。ちょうどその頃、8月20日放映の第519話「岩城刑事 ロッキーにて殉職」、そしてその続編である8月27日放映の第520話「野崎刑事カナダにて最後の激走」というカナダロケによる10周年記念作品で、およそ5年という新人刑事としては長寿だったロッキー刑事・岩城創役の木之元亮と、第1回から出演の番組の功労者である長さん・野崎太郎役の下川辰平が番組を去ることになります。これまでは新人刑事、新人でなくとも他の署でキャリアが多少ある若手刑事が殉職や転勤でレギュラーからいなくなることはありましたが、視聴者にとってはまさかのベテラン刑事の退場に大きな驚きを与えられました。長さんはその後、『太陽にほえろ!』を取り上げるメディアで「退職」という誤解された表現をされることもありますが、警察学校の教官へのあくまでも「転勤」です。 この二人の後任に俳優としての活動を始めたばかりのロッカー・世良公則がボギー刑事こと春日部一に扮して出演。9月3日放映の第521話「ボギー刑事登場!」は第1話へのオマージュなのか、原点回帰なのか、扱う事件、物事こそ違いますが、もう一度最初から『太陽にほえろ!』がリスタートするかのようなドラマが描かれました。 またこの回から、番組冒頭のオープニング・テーマが1979年のスニーカー刑事登場編より使われてきた「太陽にほえろ!メインテーマ'79」が、初期の「太陽にほえろ!メインテーマ」(「太陽にほえろ!のテーマ」というもう1つの曲名もあります)に再変更、厳密には細かい部分で演奏が異なるヴァージョン違いを編集したものなのですが、10周年を迎えての原点回帰が音でも表現されました。 それだけにとどまらず、さらなる大きな衝撃が待っていました。 ゴリさん・石塚誠役で第1話から番組を支えてきた竜雷太も、殉職という形で『太陽にほえろ!』からいなくなってしまいます。10月1日放映の第525話「石塚刑事殉職」は、竜雷太の功績を称え、番組初の90分枠の特別番組として放映されました。 ゴリさんに代わって登場したのが当時はすでにベテランの域に入っていた地井武男。すっぽんのトシさんこと井川利三役で10月8日放映の第526話「井川刑事着任!」でまさに七曲署に「着任」します。ゴリさんと長さんの設定を併せ持ったようなキャラクターで、『太陽にほえろ!』の後期の支柱ともいえる人物になっていきます。さらにもう一つ書き足すと、1978年にオーディションでレギュラー入りした紅一点のナーコ・松原直子役の友直子も10月15日放映の第527話「雨の降る街」を最後に降板となり、その後、1983年の長谷直美が演じたマミー刑事の登場まで(ロッキーと結婚した岩城令子が婦警から刑事へと異動)、女性レギュラーがいない状態になります。
駆け足にしては、いつものコラム以上の文字数になってしまいましたが、こういうレギュラー出演者の変遷が短期間にあったのです。
さて、時を経て2010年の現代。映像のパッケージソフトは、DVDからブルーレイへと加速しつつある現実があります。これはDVDシリーズがスタートした2002年からは想像もしていなかったことで、『太陽にほえろ!』全ての放映期間がDVD化になるにはこれまでのペースでいくと、2014年から2015年くらいになります。その頃にDVDはどういう扱いになっているのか?ということと、バップに寄せられているお客様のご希望で多いのが、もっと早く先のエピソードが見たい、ということです。それを少しでも叶えるには、これまでのように半年ごとの発売タイミングで、内容も半年毎のものをリリースしていては遅くなる、という考え方もあり、これはもちろん、筆者だけの意向で決められるのではなく、発売する会社での公式決定として、今回のような1年分を1ボックスでのリリースとなりました。お客様のイメージとして、筆者が全てを決めているように捉えられているようですが、社外の人間ですから、お求めに応じてアイデアは出させて頂きますが、決定は諸々の合議で決定されるので、ウェートは小さなものなのです。
●『太陽にほえろ! 1982 DVD-BOX』のBOXアートについて
ボックス・アートのメインカットは、1978年放映分のボックスから一部を除き、収録されるエピソード当時の集合写真を使うようにしてきています。しかし1982年はレギュラーの交代が多い分、いつもより多くの集合写真がありそうですが、集合写真が無い時期もあるという、この1枚、と決められないことでも非常に中途半端です。 日本テレビに現存する写真を捜索しましたが、おおよそ次のような結果でした。 入院中という設定のスコッチ刑事は写っていませんが、ボスが復帰した当初の七曲署のセット内で横向きの出演者はいますが、当時も集合写真として使われていたカット。 ジプシー刑事登場からロッキー刑事殉職、長さん転勤までの間に一係のセット内で全員カメラ目線のものと屋外で撮影された集合写真の2種類。 ボギー刑事登場の頃は、ロッキー、長さん、令子、ナーコら全員がボギー刑事とともに写っている写真しか無い(モノクロではボギー刑事登場以降のレギュラーだけの写真はありますが、それぞれが横を向いたりというラフなカットのみ)。 トシさんが着任した当時も決めの集合写真が無い(七曲署のセットの中、ボスを囲んでの捜査会議という図がモノクロで残っているだけで、半分のキャストは写真では横向き)。 ……という状態で、ボックスの表面を飾るには1年分の内容を表現出来るものがありません。 後述の中ジャケットもそうなのですが、今回は悩み深いまま、入稿期限も近づいてきました。何をやってもご批判は頂きます。迷っててもいつまで経っても出来ません。次のようなことを考えました。
ボックス1回あたりの値段を安くして欲しい、という希望が強かった頃に発売した1977年放映の内容を収めたボックスを除き、殆ど半年の放映分を入れたボックスよりも、今回は箱の幅が倍近くあるだけでも変化ですし、放映一年分を一度にボックス化するのも初、これだけレギュラー出演者が変わった年も初、という初物づくし。考えた挙句にシンプルに、前年の1981年の大病による長期欠場で改めて『太陽にほえろ!』の象徴はボスというイメージが世間的にも強くなってきたことを受け、この時期に撮影されたボス・石原裕次郎をメインに立てて、その両サイドに1982年に出演したすべてのレギュラー刑事のオープニングにおけるキャスト紹介映像を素材に配置する。背はボスだけ。ということにさせて頂きました。
箱の裏面は今までサブタイトル毎に予告編からなるべく主演刑事のアップを使ってきましたが、今回の47話分でそれをやると1カットあたりがかなり小さくなります。なので、シンプルに各ディスクに収録の話数、サブタイトルを列記するにとどめて、写真はロッキー刑事、長さんとボギー刑事とのレギュラー交代期の番宣用集合写真をメインに、この年に去る人来る人をピックアップしました。
●各中ジャケットの写真について
これまでのボックスの中ジャケットは、ディスク1枚につき1枚のデジパックになっています。これは余談ですが、紙のジャケットで、プラスティックはディスクをセットするトレイだけというのをデジパックと呼ばれています。殆どの成分が紙で幅が薄く、プラケースの方が高価な感じがするというお客様のお話しを見聞きすることありますが、実は印刷面が多く、折込みと貼り合わせの工程があるので、プラケースに紙一枚が挟まっているジャケットよりも印刷費、製造費は高いものなのです。
今回の1982年一年分のディスクを入れる中ジャケットに関しては、2枚のディスクを1つのデジパックに収める形態です。これは僕のアイデアではなく、予め決定事項として伝えられ、機能性としては良いのですが、ジャケット一つで最大8話分の内容を掲載しなくてはなりません。
今までは最大4話収録でしたので、なんとかジャケットの表面には、収録する4話の中ではこれが代表だろうというエピソードや最悪でも放映半年分毎のBOX I、BOX IIの2つを通して全てのレギュラー刑事がジャケット表面に登場出来るように、ここ数年は作ってきました。
今回は13枚組で、そういうジャケットのディスクの収納ですから、話数は約倍なのにジャケットは変わらず7枚。これもまた悩みどころでした。8話分の1話を選ぶのは至難です。
半端に複数の写真を1枚のジャケットにデザインするのもバランスをとるのに難しいことになります。イヤな言い方をすれば適当に選んで並べて、やれば出来ないことは無いと思いますが、きっと何故その話が選ばれる?というお客様の反応もあると思います。
ですので、今回は中ジャケットをなるべくその収録エピソードの時期にあたる集合写真を使うことにしました。しかしここでもボギー刑事とトシさん登場以降のレギュラー刑事の集合写真が無い、というカベに当たりましたが、カワセミカルテットの人気による黄金期の再来というトピックスの象徴として、ドック、ラガー、ジプシー、ボギーの4人のカットにさせて頂きました。どうかご容赦頂ければと思います。
●ブックレットについて
今回のブックレットは、各エピソードの番宣資料を補う意味で筆者が書き下ろす放映当時の出来事を記載する「TOPICS」や適所に掲載している刑事のプロフィールは割愛となりました。その代わり、巻頭の2ページを割いて、1982年の出来事を紹介する文章を掲載。このページには写真は1カットだけ、ジプシー刑事登場から少ししてから撮影された屋外での集合写真のオフカットを掲載しています。整列しながらも各々が穏やかな表情で談笑している写真で、ひとときの幸福な光景です。
本文では各話毎に最大5カットくらい写真を掲載しているのですが、今回もまた現存する写真の量がエピソードによって差がありますので、掲載写真もそれ相応な形になっています。 採録する番宣資料は「あらすじ」だけでなく撮影エピソードなどが記載された「みどころ」が多く提供された時期でもあり、筆者の駄文のために写真が小さくなるよりはある程度の大きさで見て頂く方がいいのでは?という考えもあり今回の措置になってます。
巻末には、1982年7月30日に渋谷公会堂…現在のC.C.Lemonホールで開催された『10周年ファン感謝の集い』の写真を掲載しました。 これは当時、関東だけかもしれませんが、9月12日午後2時から1時間枠での『日曜スペシャル』にて放送されました。この時の放送内容も特典映像にしたく、バップのスタッフに日本テレビのライブラリーを捜索して頂きましたが、映像が現存していませんでした。
実は、VHSの商品企画と制作をサポートしていた1995年当時、この10周年イベントの番組を商品化できないものかと、日本テレビのライブラリーをチェックしました。その時に映像はあったのです。しかし残念なことに音声が何故か入っていないサイレントの状態でした。これでは商品化は出来ません。今回のDVDボックスの制作過程でそれが出てきたならば、以前は商品としての質感の向上が技術的に出来ないなどの諸事情で断念しましたが、筆者がライン録りでカセットテープに録音した音声を無音の映像に乗せて、音声の質感をデジタルで調整してでも収録したいと考えていたのです。残念ですが、現実のカベということでご了承頂ければと思います。
●特典映像について
本ボックスの特典映像は、『太陽にほえろ!』DVD-BOXでは過去最長の約103分です。
短めの日本映画1本分の長さになりました。
期待されるのは、カワセミカルテットの同窓会的な映像かと思いますが、今回は皆さんが揃う日程が出てこず、新登場の三田村邦彦さん、世良公則さん、そして地井武男さんへの単独インタビューになりました。結果的にはお1人ずつだからこそ、非常に密度の濃い内容の話をお伺いすることができたのではないかと思います。 また、その単独インタビューを収録していく日程の間には、岡田晋吉プロデューサーへの単独インタビューと、この年に番組を去った竜雷太さんと木之元亮さん、岡田氏を交えての座談会も収録されました。
撮影日を順番に記録としてここに記載します。 8月30日に世良公則さん、9月3日に三田村邦彦さん、9月13日が岡田晋吉プロデューサー、竜雷太さん、木之元亮さん、最後に9月14日が地井武男さん、以上の日程でした。
木之元亮さんは毎週のレギュラー出演時期には遠く及ばないものの、ご出演期間のDVDにはオーディオ・コメンタリーや特典映像に連続出演を頂きましたので、シリーズものならではの話題として、DVD化での仕事を通して感じられたことも伺う質問も用意させて頂きました。継続のご登場ゆえに、ロッキー刑事がもう一度『太陽にほえろ!』から去ってしまうような感覚の撮影現場でした。ゴリさんはマカロニ刑事編DVDボックス、1981年放映分のDVDボックスも含めて3回目のご登場。今回はご自身の殉職編の他にも、竜さんも参加したロッキー刑事殉職編のカナダロケでのエピソードも話して下さり、話に広がりが出ているのではないかと思います。
続く、世良公則さん、三田村邦彦さん、地井武男さん、それぞれに『太陽にほえろ!』への出演が決まったとき、演じたキャラクターへの思いなどおそらく出演終了後初めて公の場で太陽を語る貴重な機会になったと思います。 この映像は是非とも御覧頂きたいと思います。
1980年のボックスから実は、編集で存在を消すかたちで筆者がインタビュアーをつとめてきましたが、今回は長尺になることも想定され、監督の発案で女性のインタビュアーを起用することになりました。インタビュアーは写真集やスポーツ関連の番組、レポーターなどで活躍中の岡村麻純さんです。『太陽にほえろ!』が終了してかなり経つ世代ですが、スタッフが用意した参考視聴用のDVDを登場編、殉職編だけでなく、そこに入っているエピソードまでも見て、事前の予習を積んでロケに臨んで下さいました。是非、そのお名前を検索してみて頂ければと思います。
今回は登場編、殉職編ごとにオーディオコメンタリーをつけるべき、と筆者は強く希望していたのですが、諸般の事情で叶うことは出来ませんでした。ご了承下さい。その分、特典映像の方に集中しての見応えのあるものになっているのでは?と思います。どうぞお楽しみにしてください。
この項の最後に、特典映像のタイトルとチャプターのタイトルを紹介します。
特典映像のタイトル
アンソロジーメイキング 10周年の七曲署
激動の1982年
チャプター・リスト
●アンソロジーメイキング・プロローグ
●プロデューサーズトーク 激動の1982年
●殉職までの道… ゴリさん・ロッキー刑事 フリートーク
●孤高の男 ジプシー刑事の登場
●原点回帰の新人 ボギー刑事登場
●ゴリさん、長さんを受け継ぐ刑事 トシさん登場
●ファンの皆様へのメッセージ
●エンドロール・クレジット
出演:竜 雷太、木之元亮、三田村邦彦、世良公則、地井武男、岡田晋吉
(当時 日本テレビ・プロデューサー) ナビゲーター:岡村麻純
●PHOTOデータ集について
他のDVD商品の慣例を打ち破る大量収録のPHOTOデータ集は今回も継続です。今回は10周年のカナダロケやボギー刑事登場編、ゴリさん殉職編の貴重な写真が大量の残っており、他のエピソードが比較的少ない事から、その3つを多めに収録させて頂きました。いずれも当時の現場の様子、空気を感じられる写真の数々、カラー、モノクロ各70点ずつ合計140点の収録です。
●ゴリさん殉職編の短縮版について
ファンの間で語り継がれてきている第525話「太陽にほえろ!スペシャル石塚刑事殉職」の1時間枠で放映するための短縮編集版の映像は、近年もCS放送でオンエアされたということもあり現存していましたので、収録させて頂きました。 最終ディスクに特典映像と一緒に収録すると、ディスクの容量の問題でクオリティを保てないのだそうです。 そこで収録ディスクは、第521話「ボギー刑事登場!」から始まるDISC-009の第523話「ゴリさん、死の対決」の後に「特別収録」として入れ込みました。DISC-010には本放映でのスペシャル編が収録され、DVDを通して視聴すると2話分を通してゴリさんの殉職編ということになります。収録位置の協議では、そこの点で別のスタッフから反対意見もありましたが、DISC-009だけでみれば、通常エピソードでは最後のゴリさん主演編の後に殉職編なので並び的にもここしかないのでは?と考えました。
13枚のディスクの収録内容、区切りは出来るだけ、殉職、登場等の出来事に見合っての切り替えを考えての構成、配分を心がけましたが、ゴリさん殉職とトシさんの登場だけはディスクを別にする事は出来ませんでした。どうかご了承下さい。
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